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和田塾通信2013/8

2013年8月 和田塾通信〔№40〕

今月気に入った言葉、気になった言葉

『小さな勝利は知恵で得る。大きな勝利は徳で得る』

この言葉は、一昨年に訪問した中国で急成長中の蒙牛乳業集団(本社、内モンゴル)の創業者、牛根生(ニュ・ゲンシェン)氏の言葉である。
1999 年に設立した会社がわずか8 年で中国のトップ牛乳メーカーになった。牛氏は生後1 ヶ月の時に50 元で売り飛ばされ、養父が牛飼いだったことから「牛」と名がつけられたという。
その養父母も彼が12 歳と13 歳の時にこの世を去る。つまり彼は、困窮きわまりないところから、一大事業家になった中国立志伝中の人物で「弓矢よりも速く駆ける牛」というのが彼のニックネームだ。彼の下には、常に人財が集まる。人望家でもある。

ヤング対象ビジネスからシニア対象ビジネスの時代に

日本人女性の平均寿命は86歳、男性は79歳と、世界でも1、2位の長寿国になっている。ましてや人口1億人以上の国では類を見ない。しかも巷間言われているように、少子化、超高齢化社会になるに伴い「課題先進国」として様々な社会的問題をどう解決していくか、世界の国から日本が注目されている。
人口構造が変われば、ビジネスも変わるのは当然である。日本は1945年に太平洋戦争が終結したが、約300万人の人が亡くなり、東京を中心に全国の主要都市は、そのほとんどが焼け野原となった。全てを失ってから「戦後復興」と「高度成長期」を迎え、そして今日(こんにち)、いわゆる「成熟化社会」=少子化・超高齢化社会を迎えているのである。
特にこれからの未来、すなわち20年、30年先を見据えた時にグローバル化はさらに進展し、またIT(情報)化が今にも増して社会、生活に浸透し、社会制度やライフスタイルも大きく変貌していくことが予想できる。
私は1947年生まれ、団塊世代の筆頭組だ。同級生は約260万人、今の子供たちの1世代の3~4倍の数になる。今や死語になったが、小・中学校は「マンモス校」と呼ばれる位、生徒の数が多かった。その団塊世代が10代後半になった1964年に東京オリンピックが開催された。
さらに団塊世代が働き手となり、社会に出た時に、大阪で万国博覧会が開催され、その時から、日本の経済成長はピークに達し「大量生産大量消費」そして「消費は美徳」という消費社会への欲望が全開されるようになった。
私が20代に入った頃、大量販売と消費の象徴は、なんといってもスーパーの台頭・成長である。考えてみると、この頃から「百貨店衰退論」は言われ続けている。既に約半世紀にもなるから、百貨店も可愛そうなものである。
1970年半ば、この頃のビジネスやマーケティングは「ヤングマーケット」がキーワードであった。流通業界、小売業界では「ファッション社会到来」ということで欧米のファッションを学び、日本に持ち込んだ人々が脚光を浴びた。
その代表が「VAN」や「JUN」というブランドを築き上げた。私が大学生の頃、「アイビーファッション」が全盛になり、「フォークソング」やビートルズの影響から音楽も一つのファッションとして若者の間に定着していった。
特に小売業の丸井は月賦百貨店からビジネスモデルを変え「クレジット」と「ヤングファッション」を掲げ、クレジットによる「ご予算少々」戦略によって、東京ではヤングのシェア60%以上という圧倒的な支持を受け「ヤングファッションの丸井」を確立させたのである。
1970年代、80年代の若者の消費は何しろ人口が多かったことが第一であり、物(商品)を持つ、買えるというのが最大の憧れであった。企業側もヤング対象のビジネスや商品がヒットすれば企業成長できたし、高収益企業になった。
そして1980年代の前半に、この団塊世代が続々と結婚し、世帯を持つと「ニューファミリーマーケティング」というコンセプトが生まれ、それに伴うライフスタイルが芽生え始めた。
この頃までは日本の人口は、活力ある国家としての人口形態である「ピラミッド型」であり、人口学でいう「機会の窓」すなわち「子供(0歳~14歳)の割合が30%以上、かつ高齢者(65歳以上)の割合が15%以下の期間であった。
それは1965年~1995年の30年間続いた。だが、この間に日本経済は「人口構造の変化」を起こし、「プラザ合意による変動相場制への移行」+「バブル経済崩壊による歴史的経済ロス」、そして「IT社会の到来」という国の構造(カタチ)を大きく変えるインパクトを受けるのである。
つまり、日本の戦後は高度成長と共に「ヤングを対象」にビジネスや商品が開発され、それが消費をけん引して日本の経済や消費文化を築いたといえるのだが、1995年を境として人口構造が変わり始めた。
高度経済をつくり、企業戦士と言われた人たちが60歳の定年退職時を迎えて15年以上がたつ。その人たちは既に80歳を迎えている。そして今、65歳を迎えた団塊の世代、このシニア層だけで約1,000兆円の金融資産を持ち、人口も全体の24%強、3,000万人を超え始めている。
結論からいえば、日本の成長戦略、企業成長戦略は、GDP(国内総生産)の60%を占める消費、中でもこの高齢者消費に「戦略ターゲット」を置くべきであるというのが一つの提言である。「需要は自ら創るもの」という企業戦略の要諦からも自明の理である。
既にそこに照準をあて、うまくシフトをしている例を挙げよう。人口構造の変化で、ファミリーレストランも長い間、低迷し、ニューファミリー層をターゲットにしてきた大手ファミレスは大量の閉店に追い込まれた。
しかし最近「ロイヤルホスト」や「デニーズ」は「女性層」そして「中高年層」へ客層の転換を図ることで低迷を脱している。女性や中高年は「美味しい」「いいサービス」「ヘルシー」が三大キーワードで「安心」は最後である。
デニーズの最近のヒット商品は「サーモンバーグ」。サーモンには、エイコサペンクエン酸(EPA)などの健康成分が含まれるほか、抗酸化作用などもあり、美容面から注目されている。しかも低カロリーだ。
ロイヤルホストも肉を小さめにしてつけ合わせの野菜を増やした391キロカロリーのヘルシーハンバーグが人気という。こういう点からも中高年対象には「低カロリー(400~500キロカロリー)」「野菜」「柔らかい」「少量、色々」などがキーワードになる。
みずほコーポレート銀行の調査によると、高齢者世帯の食材に対する支出は、2020年には20.5兆円になり、2007年より4兆円も増加し、全世帯のほぼ30%を占める。
また、セブンイレブンの調査によると1999年には、16%だった50歳以上の来店客が2011年には30%とほぼ倍増、対象を40歳以上に広げると47%と全体の約半数を占めるという。
最近のコンビニ各社の品揃え商品戦略は「ヘルシー」「少量」「PB」「一人様用」「簡単調理」がキーワードだ。年配者が歩いて買い物にいけるコンビニに期待し、買い物行動が変化しているという一つの表れでもある。イオングループでは社内に「グループシニア戦略」を設けて、グループ企業全体でシニアをどう取り込んでいくかという取り組みをスタートさせている。
シニア(高齢者)といえば、「介護施設」は既に大きなビジネスになっている。JRグループでもツアーパッケージでシニア層は最大のマーケットになった。ホテルでも同様だ。
まさに「シニアを制するもの、市場を制する」時代が来た。これから5年、10年、20年刻みで、マーケティングでいうところの「ターゲティング戦略」を明確にし、事業開発にも商品・サービス開発を実行したところが大きな果実を得ることは間違いない。今からでも遅くはない。

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