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和田塾通信2013/9

2013年9月 和田塾通信〔№41〕

今月気に入った言葉、気になった言葉

『一日は生涯の縮図である』

「ハッ」とする言葉であった。人間の一生は約3万日といわれるが、今日という一日には、その3万日が凝縮されているような気がする。そう考えると、一日は大事である。今日一日を悔いのないように生きる。それが人間に与えられた使命であると思う。

大衆(お客さん目線)で大事なのは、「何が不足か」から考えること-国家も会社も滅びる要因は同じ-

今、米国でベストセラーになった訳本を読んでいる。1冊、350ページを超えるのが上・下巻であるから、相当な量だ。
原本のテーマは「Why Nations Fail」である。日本語訳のタイトルは「国家はなぜ衰退するのか」であった。
著者は気鋭のMTI教授であるダロン・アセモグルとハーバード教授のジェイムズ・ロビンソン。「有史以来、国家は『反映する国と貧困にあえぐ国』に何故、分かれるのだろう」というのが本書の原点である。
例えば、朝鮮半島の韓国と北朝鮮は地続きでありながら、何故、これだけの差がついてしまったのだろうか。
40年前に、米国、西海岸のサンディエゴに行った。今でもその港町の美しさは記憶にある。そして、サンディエゴからバスで隣国、メキシコのティワナという町に入った。当時、通関するためのゲートがあったのだが、そこを抜けると同時に衝撃を受けた。
同じ地続きなのに、米国側は緑があふれている。瀟洒(しょうしゃ)な住宅に芝生が敷かれた家々が立ち並ぶ。しかし、メキシコはガレキ、砂漠の国土である。
この本の最初にアリゾナ州ノガレスとメキシコのソノラ州ノガレスの数メートルの差の中に「繁栄と貧困の差」があることが書かれている。
私が初めて訪れたメキシコと米国の国境の差と同じである。この差は南米と北米(米国)への移民の違いにまで歴史は遡る。
国家の繁栄は以前より「地理説」「文化説」「無知説」で説かれていたことに、本書は反論している。その主眼は「不平等による繁栄と成長」という切り口であり、それをもたらすのが「国家の制度に起因する」というアプローチだ。
アリゾナ州ノガレスとソノラ州ノガレスの差については次のように書かれている。
「アリゾナ州ノガレスは合衆国にある。住民は合衆国の経済制度を利用している。彼らは自由に職業を選べるし、学校に帰ってスキルを身につけられるし、雇用主に最高のテクノロジーに投資するよう促せる。これらが賃金の上昇につながるのだ。
また、彼らが利用している政治制度のおかげで民主的プロセスに参加し、国会議員を選出し、議員が期待を裏切れば取り替えることができる。その結果、政治家は市民が必要とする基本サービス(公衆衛生から道路、法と秩序まで)提供することになる。
しかし、ソノラ州ノガレスの住民はそれほど幸運ではない。彼らは異なる制度によって形づくられた異なる世界で暮らしている。これらの異なる制度は、二つのノガレスの住民に対して、また、その地域に投資しようとする起業家や企業に対して全く別のインセンティブをもたらす。
二つのノガレスの異なる制度によって、またその町が位置する国によって、生み出されるこれらのインセンティブが国土の両側で経済的繁栄に違いがある主たる理由なのだ」
つまり国を形成する制度によって国の繁栄と衰退は決まるというのである。結果として、大衆(国民)は自由を獲得し、大半の国民は自らの幸福と、そして隣人の幸福を願う生き方をするものなのである、と捉えてもいいだろう。
結局のところ、国家のリーダー(時の政権リーダー)は、心底、国民がどうしたら幸福になれるのか、どうしたら国家は繁栄し続けられるのか、という大きな志、使命感、私利私欲のない精神と哲学を持たなければならないということだ。
会社経営も同様である。社員が不満一杯の会社は、いつか崩壊するという。
長年、様々な会社を視てきた。社長が会社経営の目的を「永続性にある」とし、そのために何をしなければならないか、社員が心底やる気満々で働ける制度は何かを考え、実践していない会社には成長もない。あったとしても百年永続の中でのたった5年か10年かもしれない。会社や組織はいつしか崩壊する道へと進んでいるのである。
そして、それは、さらにその先にいる「顧客=お客様」にとっても同様で、常にお客様が何を求め、どんな「不」を持っているのかを考え続けなければならない。
これは社長一人では、たとえワンマン経営をしていても出来るものではない。パートさんや現場で働く人たち全員が「お客様は大切だ」「お客様の喜びや満足が私たちの給与の源泉である」という考えを持ち、そこに「やり甲斐、生き甲斐を見出せない」と定着率は悪い。荒んだ社風になってしまう。会社でいう「ブラック企業」になってしまうのだ。
お客さんは常に「不満、不便、不備、不行き届き、不快、不親切、不安、不信等々」を抱えているものだ。この「不」をとることが自分たちの使命であると考え、行動している社員が1人でも多くいる会社は強い。
そこにあるのは客観性=客観的立場、つまり、会社や自分の目線ではなく「お客さん目線」である。客観とは「客の見方に立って自分のありようを観る」ということだ。
江戸時代に、藩の再興をした名伯楽達がやったことの共通点は農民(当時はほとんどが農業に携わっていた)の間を廻り「何か不足はないか?」と接し、聞いて廻ったことだった。それによって年貢の制度などを改革していったのである。
今、大転換期にいることは誰しも分かっている。しかし、国家の成長にしても衰退しても「理想とか希望とか将来への見通しが見えなくなった時に発生するもの」ではないかと思う。
理想や希望があれば、成長するし、それが無ければ衰退する。今一度、リーダーは、会社が成長するための全てを見直す時が来ていることを認識して欲しい。

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