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和田塾通信2014/07

2014年6月 和田塾通信〔№51〕

今月気に入った言葉、気になった言葉

『感謝されなくても、人を憎んだり、疎んだりする人間にはなりたくない。だが、せめて人に感謝できる人間になりたい』

相田みつをさんの言葉に「○○してあげたのに」というものがある。私たちは日常、人に対して、利害を含めて色々やってあげたり、物をあげたりする。そこで普通の人間は、心で見返りを望むのである。「・・・のに」と。難しいテーマである。生涯のテーマである。しかし、感謝できる人間にはなりたい。

「本業が消滅」するほどの革新が必要な時代

今、私たちは、歴史的大転換期にいる。情報革命、流通革命、ライフスタイル革命などの革命進行中ともいえるだろう。同時に、グローバル化や少子高齢化というかつてない構造変化にさらされ始めている。しかし、ビジネス的に見れば「変化こそチャンス」という名言がある。まさにそんな時代なのである。
今や「飛ぶ鳥を落とす勢い」というのは、こういうことを言うのだろうと思わせるのは孫正義氏率いるソフトバンクグループだ。
孫さんは、若くして創業しているから、社長歴はもう30年以上になる。創業以来、ずっとコンピュータビジネスの周辺にいた。
ソフトバンクはソフトウェアの卸業を本業としていたが、高度デジタル情報社会とインターネット時代の到来から劇的に変わり始め、時代の寵児となった。
今年はソフトバンクが上場して20年になる。その時価総額は50倍になった。20年前、いや10年前でもソフトバンクが情報通信業界の巨人、NTTドコモを凌駕するとは、誰も想像しなかっただろう。
しかし、孫さんは90年代半ば頃から、自ら「私は通信業界の世界一をめざすというホラをふきます」、それは「私の志がそこにあるからです」と言っていた。今、それがこの短期間に現実化しようとしている。
孫流経営は、自ら製品を作ることはしない。世の中のすぐれた天才が創り出した製品や技術を独特の販売方法によって圧倒的なシェアをとっていく。そして関連産業をネットワークして投資をし、グループ化して、ITのパッケージ産業化をしていく。しかし基本的には「インターネット・デジタル・情報通信」という枠組みからは離れない。
そういった面では孫さんは投資家であり、実業家的な起業家といえるだろう。まさに情報革命時代に国内ばかりでなく、グローバルな視点で、ビジネスを一代で短期間のうちに構築しつつある稀代の経営者であろう。
もう40~50年も前のことになるが、高度経済成長期の頃の日本の主力産業の一つは紡績や合繊などの繊維産業であった。東レ、帝人、カネボウ、ユニチカ、旭化成などの会社がある。
だが、こうした会社の、この30年間の戦略テーマは「脱繊維」であった。生き残った会社も繊維は50%を切った。カネボウは破綻したし、名門ユニチカも存亡の危機にある。
同じように、商品そのものが消滅しつつある業界がある。写真フィルムの業界だ。かつて世界№1企業だったイーストマン・コダックが時流に対応しきれず会社が破綻したのは、つい、この間のことである。そのコダックを抜いていたのが富士フィルムであった。
2000年に突入した頃から、写真の世界にも革命が起こり始めていた。フィルムからデジタル化への大波である。富士フィルムは、世界でも圧倒的なシェアを誇り、利益の大半を写真フィルムで稼いできた。しかし、その写真フィルムが2000年頃から店頭から消えつつあった。
ついこの間まで使われていた、いわゆる「バカチョンカメラ」と言われたカメラを今も使う人はいるだろうか?消滅したのである。
富士フィルムの2000年からの10年間は、写真フィルムをやめ、まさに「破壊と創造」への道であった。社内や代理店や諸々の利害関係がある中での決断、経営陣の苦しみのほどは想像すらできない。
しかし、事業構造の再構築もさることながら、富士フィルムの技術力、2000年当時に約6,500億円の現預金を持っていたこと、高収益企業、富士ゼロックスへの出資比率を引き上げ連結子会社化したことなどが大きな下支えになったといわれている。
現在、富士フィルムは、約2兆円の売上げになるが、ドキュメントソリューションビジネス(大半は富士ゼロックス)の売上げは45%を超える。メディカル・ヘルスケアや業務用の印刷関係などのインフォメーション・ソリューションは41%、そしてデジカメやフィルムなどのイメージングソリューションは13.3%、今や写真フィルムの売上げは0.5%とほぼ「壊滅状態」だ。
フィルムといえば、今、日本一の集客力を誇る日帰り温泉施設「万葉の湯グループ」がある。横浜を拠点として、福岡、北海道にまで展開。日帰り温泉施設の一番店化をはかり、その業態(ビジネスモデル)を確立した。
この会社のオーナー創業者の高橋弘さんは、もともとが温泉地の旅館やホテルで写真ビジネスをしていた方で、日本ジャンボーという会社を上場までさせた。しかし富士フィルムと同様に、一早くこの事業に見切りをつけ、日本ジャンボーも上場を廃止した。そして、日帰り温泉ビジネスに集中した。まさに本業消滅である。
また、東横インというホテルチェーンは、エコノミーホテルを標榜する一大ホテルチェーンを築き、日本や韓国に店を展開し、ルーム数は47745室と、日本一の部屋数を有する。宿泊特化型のエコノミーホテルの業態をつくり、日本一の高収益ホテルになった。
創業オーナーの西田憲正さんは、電気工事会社の二代目である。ホテルの建築や電気工事は別会社でするが、今やホテル経営が専門であり、本業である。現在、米国やヨーロッパにも展開すべく世界を飛び廻っている。
手元に一冊の小冊子がある。タイトルは「バカ社長の実践考動学」。著者は知人の樋口功さん(十日町市在住)。この本は、彼の水道工事会社、融雪事業、福祉事業への変遷の行動録でもある。
私が樋口さんと知り合ってから25年位、この本をいただいてからも既に4年ほどたつ。大きな会社のことを書いたが、樋口さんのこの10年以上の奮闘は、中小企業にとって大きな励みになる。十日町は、ご承知のとおり、日本一の豪雪地帯であり、地場産業の呉服織物がピーク時の10分の1になる位の壊滅的な状態にあり、限界集落が散在する自治体でもある。
樋口社長は、1980年(昭和55年)に北越下水道株式会社を創業、1997年に、年商14億円、社員数50人までの会社にするも1999年(平成11年)、一切の公共事業の入札を辞退、つまり創業の水道、配管工事業を辞めるということであった。
水道工事は下請け構造、プラス公共事業で技術開発や営業はほとんど不要である。そんな仕事をしている中で彼は「屋根融雪装置」を創る。実は、樋口さんも自らが足に障害を持つ身であったため、この豪雪地帯においての雪かき、雪おろしは難行苦行の作業である。
ある時、「電気ヒーターを使った融雪技術」という記事が目に留まり「これだ!この技術があれば、電気ヒーターでできるなら、自分たちが配管工事でやっている床暖房の技術を応用すればもっと安く良いものができるはずだ」という“閃き”であり“直感”が樋口さんに走った。
そして、水道工事をやりながら、この屋根融雪の事業に乗り出し、平成11年、150棟を超えた年に突然、十日町市と新潟県に水道設備工事の公共事業自体を申し入れた。この時、会社は大騒ぎ、「社長は狂ったか?」と言われたという。年商の3割を捨てたのだから・・・。
だが逆に「日本一の屋根融雪メーカーになりたい」という想いと志に火がついた。そして「お客様第一主義」を経営理念の根本におき、北越融雪株式会社が平成13年に誕生した。
そして平成14年(2002年)、樋口社長は、また大きな決断をし、新しい事業をスタートさせた。最初は「NPO法人 支援センターあんしん」である。これも樋口さんには、子供さんがお嬢さんばかり3人いらっしゃるが、末娘の明紀子さんが幼少の時に交通事故で頭を強打し、知的障害者になったことに遠因がある。
「この子が自分達が死んだ後も安心して暮らせる施設をつくらねば、誰がやってくれる!」という動機から、福祉事業への進出、取り組みをスタートさせたのである。
そして同時に老人介護通所施設「北越ディサービスセンター」を開業、「あんしん」は事業として、障害者の働く場「ワークセンターあんしん」で北越融雪のパネル製造の委託作業もできるように指導してスタートさせた。
さらに次に、雑古紙を再生したトイレットペーパーのロールを使用してトイレットペーパーにする業務を開始、トイレットぺーパーの箱詰め作業などを障害者の主要な仕事として成立させた。生産体制はでき、販売も独自に協賛者を中心に直販体制を築きあげていったのである。
こう書けば簡単なようであるが、この事業はもちろん、補助金事業であると同時にまさにドラッカーの言う「非営利組織に働く人達の献身的な支援」、つまり、ボランティア的な支援があってこそ成り立つ。劇的に変化する競争社会にあって、社会的弱者を支援する事業は確実に、着実に社会の片隅で花開きつつある。
もうお一人、先日、障害者を支援する若手企業家に会った。障害者のための教育と就業支援をする株式会社LITALICOである。60ヶ所以上の施設を有し、皆、若い社員ばかりであるが、錚々たるキャリアを有している。
社会は変化と同時に新しい価値創出を求めている。その突破口として「本業を否定してみる」ということからスタートするのが最も良いのかも知れない。
本業は大事である。しかし時代とともに、本業もイノベーションして、時流にあった、そしてお客様に支持されるビジネスモデルにしていかないと、あっという間に消滅してしまう。また、本業にとらわれて赤字にもかかわらず、変化、革新できないと、命取りになる時代でもある。数字は冷静であり冷徹だ。それをどう読み、行動するのか、本当の意味での経営者、リーダーの能力が問われる時代が来ている。

<本業を見直すポイント>
1.今の本業はこれからも時流に負けないか
2.赤字になっていないか
3.どうしたら生き残り、成長できるのか
4.自社の強み、弱みを客観的に評価する(SWOT分析)など。
5.自分の得意なものは何か確認
6.お客様の数は増えているのか
7.社長自ら「破壊と創造」を決断し、実行できる能力があるか
8.新しい事業をやるための社内人財、応援者、そして資金的裏づけはあるか

株式会社和田マネイジメント TEL 03-3457-6551

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