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和田塾通信2014/10

2014年10月 和田塾通信

今月気に入った言葉、気になった言葉

『教えることは、未来を共に語ること。学ぶとは、真実を胸に刻むこと』

フランスの小説家であり、詩人のルイ・アラゴンが 1943年にナチスの弾圧により、ストラスブール大学の教授・学生が銃殺、逮捕されたことを悼んで書いた「ストラスブール大学の詩」の一節である。教えるとは、未来にひらける希望を共に語り合うことであり、学ぶとは、生きていく上で誠実さや正しいことを身につけること、人間としての生き方を説いた言葉である。

「会社のDNA(遺伝子)を残し、強い会社にする」

「カンブリア宮殿」という、作家の村上龍さんが会社や経営者を取材、インタビューするテレビ番組がある。ほとんど見たことはないが、たまたま9月25日にテレビをつけたらやっていたので見た。
その日に出ていたのは「ラーメンの日高屋」の創業者、神田正さん。はじめて日高屋の創業経営者をテレビではあるが、実物を見た。
現在73歳、「きどらない、自然体で倹約家」の方である。村一番の貧乏な家に生まれ、中学時代から働いて家計を助け、中卒で社会に出て、15位の職業を転々とした。「自分では一生懸命やるが、すぐに飽きてしまう性格だ」と言う。
20代の時にラーメン屋でアルバイトをして、32歳で自分の店を持つ。「ラーメン屋がやりたくてやったのではなく、たまたま続けているうちに今のようになってしまった」と、あっけらかんと話す。
東京証券取引所一部に上場した時も、埼玉の大宮から電車で行ったという。運転手付の車は持たない。本社も自社ビルも持たない。「そういうお金を使うなら、従業員の給与を上げた方がよい」とたんたんと言う。
「駅前、380円、普通に旨い。ちょい飲み寄り」がコンセプトである。「良く働く」「人を大事にする」が、この日高屋のDNAで、神田さんの生き方そのものであり、人生そのものであると思った。
印象に残ったのは、「上場してお金もたくさん入ったでしょう」という村上龍氏に対して、「お金の使い方を知らないし、物もいらない。欲しいものもない。何もなかった貧乏の時と同じように死んでいきたい。15歳で世の中に出て、一部上場まで出来た。これは奇跡で運が良かっただけですよ!」という言葉。
ギラギラしたところがない不思議な立志伝中の経営者である。この日高屋、26年5月末で店舗数351店、売上高320億円、経常利益37億円という優良企業である。
この日高屋のように、創業者がまだ現役ではあるが、その創業者の人生観、人間観などの価値観が会社に脈々と流れている例はたくさんあると思う。
これが形は見えないが会社に脈々と流れる「遺伝子(DNA)」である。大事なことは会社の中にDNA(遺伝子)が明確にあるか?ということだ。
この遺伝子を一言でいうと、その会社の「文化(カルチャー)」と言ってもいいし「社風」と言っても良いだろう。さらに言えば、創業者や経営者の人生哲学が具体的な行動として実践され、醸成されているもの。
それを表現化し、見える化したものが「家訓」「理念」「社是」などの、それぞれ独自の規範である。
例えば、リクルートという「情報媒介」で日本一の会社がある。創業者は今年亡くなられた江副浩正氏。ベンチャー企業として創業し、早くから情報媒介企業として、転職、採用、車、住宅、結婚等々、ライフスタイルの中で必要とされる情報仲介役としてのビジネスモデルを創った。
この10月に、株式上場を予定しており、時価総額は1兆5,000億円になるだろうと予定されている。
このリクルートの遺伝子は、創業者の江副さんが創ったものと言ってもいいだろう。どんな遺伝子なのか、一般的に言われていることは「トップ営業を第一とする。リクルート出身者は事業で成功する人が多い。35歳位になると、会社に残る人と退社していく人とのコースがはっきりする。常にベンチャー精神を持ち、新しいことにチャレンジする挑戦魂がある」等々だ。
リクルート出身者で社長になった人を何人か知っているが、確かにビジネスマンとしても一流であり、常に前向きな姿勢を持っている人が多いのは確かなようである。
売上高1兆円を超えた現在も、創業以来の「リクルートらしさ」が脈々と流れているから、改めて遺伝子(DNA)は大事だと思う。
そして今、日本を背負うトップ企業は何といってもトヨタ自動車である。今や世界№1の自動車メーカーと言ってもいいだろう。
よく言われていることであるが、トヨタ自動車はGMやフォードをお手本としてきた。しかし、いつの頃からかトヨタがお手本としてきたメーカーより故障しない車を作れるようになり、世界を代表する自動車メーカーになり、世界販売もグループで1,000万台を超えるまでになった。
そこで言われるのが「なぜ、米国の自動車メーカーは失敗して、トヨタは成功するのか?」である。ここにこそトヨタ自動車に脈々と流れる遺伝子(DNA)があるのではないだろうか?
トヨタの源流はトヨタの創始者、豊田佐吉氏である。自動織機の生みの親であり、発明家である。トヨタの本社を訪ね、佐吉氏の「その障子を開けてみろ。外は広いぞ!」という言葉に触れた時、衝撃が走ったことを憶えている。
その佐吉氏の息子、豊田喜一郎氏がトヨタ自動車の実質的創業者だ。今から80年以上前に自動織物工場の片隅にある板張りの囲いの中で本業とは全く関係のない小さなガソリンエンジンをこっそりつくり始めた。
それは父、佐吉氏から受け継いだものであるかもしれないが、この起業家精神こそ、日本で最大かつ最強の「ベンチャー企業」として存在するトヨタの遺伝子であり、現社長、豊田章男氏をして常に「中小企業のベンチャー精神から学ばなければならない」と戒めているのである。
この起業家精神には、ただ新しい事業を生むということだけではなく、巷間でよく言われている「トヨタの改善に対する考え方と実行力」がある。
10月号の月刊「致知」で、前トヨタ社長であり現名誉会長の張富士夫氏が対談の中で「トヨタの生産において大野耐一という方の存在なくして今のトヨタは無い」と話されていた。 
大野氏は、米国のスーパーマーケットの運営からヒントを得て「トヨタ生産方式」、すなわち多品種少量生産のものづくりを確立された方である。
豊田喜一郎氏から「『ジャスト・イン・タイム』のものづくりを開発せよ、3年でビッグ3に追いつき、追い越せ」という号令を受けた大野氏が懸命に取り組み「その後のトヨタの遺伝子となるトヨタの物づくりのシステムばかりでなく“考え方”“思想”を確立された」と言っても過言ではないだろう。
その中に「現地、現物、現実」とか「『なぜ』を5回繰り返せ」がある。この『なぜ!』は奥が深い。「常に『なぜ』という疑問を持て。しかし1回の『なぜ』だけでは中途半端になる。なぜそうなったのかを5回繰り返せば本当の原因が分かるぞ」と張名誉会長は「大野耐一さんから教えてもらった」と言う。
こういう遺伝子が脈々と流れているからこそ「ビッグ3は失敗したが、トヨタは成功する」ということが分かるような気がする。
トヨタの強さは「人財力」にもあるのではないかと思う。その人財力を高めているのが遺伝子である。トヨタの仕事の仕方の基本は「トヨタの問題解決力」にあると言われている。それは前述した「なぜ!」から始まる。解決するまで前に進まない。「この徹底度の差こそトヨタの強さ」ではあるまいか。
そのトヨタには経営リーダーになるための「リーダーシップの要諦8つのステップ」がある。それは
①現実を見極め、志高く目標に向かう
②事業の焦点を絞り、狙いを具体化する
③組織の求心力を引き出す
④先入観を捨て、問題の根本に突き進む
⑤創造力を発揮して、実行案を練り上げる
⑥集中力をもってチームの実行を加速する
⑦実行の結果、過程を関係者と検証する
⑧標準化と改善の好循環で次へ飛躍する
 これだけではよく分からないが、このリーダーのための問題解決の行動、手順や心がけ、心構えがある。これらのことを「OJTで徹底化」する。その底流にあるのが価値観の「トヨタウェイ」であり、行動指針としての「豊田綱領」である。
 どこの会社でも理念や方針を策定している。しかし、これらを組織全体に浸み込ませていかなければ血液にならない。良き血液は、その組織(体)が健全な状態、つまり、財務内容が良かったり、社員が自社に誇りを持ち、楽しく頑張れる会社になっているか、そして成果を出し続ける会社になっているかどうか、これらが良い状態にあるからこそ、良き遺伝子がつくられていくのである。
 今一度、自社の「遺伝子(DNA)は何か」を考えて欲しいものである。
※トヨタの「豊田要綱」などは、トヨタ自動車のホームページで見られます。

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