wada managment

和田塾通信2015/12

2015年12月 和田塾通信〔№64〕

今月気に入った言葉、気になった言葉

『リピート率が高くなった結果、お客様はファンになってくれる。それは、お客様に継続して、感謝、感激してもらうということ』

安定して成長できる会社や店はお客様の支持率が高く、何回も買ってくださるリピート率が高いということである。それは、魅力的な会社なのか、魅力的なサービスなのか、魅力的な人がいるのか、また買いたくなる、来たくなる魅力的な仕組みがあるかどうかである。

戦後70年-バブル経済崩壊、そして「情報経済」が全ての軸の時代に

2015年11月11日のNHKのニュースで驚いたことがある。この日は、中国では「独身の日」という記念日だそうだ。
中国最大のネット通販最大手のアリババ集団が同日、早朝の最初の90分だけで、決済サービスの「アイペイ」を使った商品販売額が米ドル換算で50億ドル(約6,000億円)を超えたことをニュースで取り扱っていた。このうちの70%以上が同社傘下のモバイルサイトでの買い物だった。
11日の独身の日は、数字の「1」が並ぶことに由来する。中国では、この日を祝って未婚の男女が自分のための買いものを楽しむという習慣が数年前からあって、ネット通販会社は、この日に合わせて特価商品を売り出す。
昨年のこの日、アリババ傘下のネット通販サイトでは、総額90億ドルを超す商品が売れていた。今年のアリババの11日の1日の売上げは、最終的に、なんと「1兆7,600億円(前年60%増)となった」と発表された。
この売上げは、日本の百貨店のトップ、三越伊勢丹の年間売上げである1.2兆円をも上回るし、家電量販店で第3位のヤマダ電機の1.6兆円をも上回る。これをたった1日で達成したわけであるから、マーケティング力の巧みさもさることながら、今やインターネットで商品を買う時代、つまり「E-コマース」が広がってきていることを明確に示している。
インターネットが米国からスタートして、まだ20年足らず。前号の11月号では、1990年初頭に日本のバブル経済が崩壊し、日本は、未曾有の不況、それは、戦後の復興から高度成長の50年間で経験したことのない「下り坂の経済」「デフレの経済」に突入したことを書いた。
そして、その一方で、米国では新しい覇権国家としての地位固めのために「金融資本主義システム」の確立と、それを有効的、効率的にネットワークするため情報技術(IT技術)の開発が行われ、数理的解析を駆使した新しい「金融商品」の開発が急速に進んでいった。
その中で特に「インターネットの普及」と「モバイル(携帯電話)の技術開発」は2000年以降から、現在まで、多くの新規会社を生んできているのである。
前号でも書いたように、1998年は日本経済にとっての修羅場であり、バブル経済の最終的な崩壊の段階でもあった。特に北海道拓殖銀行をはじめとする金融機関、あるいは山一證券、そしてノンバンクと呼ばれた金融機関の相次ぐ破綻は、その先の取引先の連鎖倒産を呼び起こした。
そこから「日本経済が沈没する」とまで言われ、急速な縮み志向に入ったのである。「平成不況」と当時の内閣府は発表したが、1991年から2000年までの10年間を指し「第1次・第2次・第3次平成不況」と名づけられた。
 特に1990年代後半は、前述したような日本国内の金融危機と、東南アジア、特にタイ発の金融危機も相まって、日本は相当、深刻な状況に陥った。そして、2000年のITバブルの崩壊までを「失われた10年」、バブル経済から続いた過剰な設備投資、雇用、債務を「三大過剰」と呼び、これを調整するまでに、また10年以上かかり、それらを元とする不況を「失われた20年」と呼んだのである。
 当時の不況は「それまでの景気循環的なフローの在庫調整だけではなく、バブル経済崩壊による株式や土地、建物など、ストックの調整過程が重なりあっていることであるとする」として、当時の経済学者、宮崎義一氏は「複合不況」と名づけた。
 このような最悪の複合不況の状態の中においても元気な集団があった。その特徴はなんと言っても「1980年代のバブルに無縁であった人達」である。キーワードは「情報」「デジタル」「インターネット」。これをビジネスの戦略的な位置づけとしてとらえた企業には平等に勝機が与えられた。
 例えば、宅配便を開発し、「個人の荷物1個を全国どこにでも届ける仕組みとサービス」を完成させたヤマト運輸。その凄さは、一つひとつの荷物をほぼ間違いなく時間指定まで出来て届けられることにもある。
 たくさんの個数の荷物を管理するためには、ビジネスモデルとして、コンピュータがなければ成り立たない。そして「一つの荷物を全国どこまででも」ということは、「ネットワーク型ビジネス」である。
 ネットワークとは、一つの荷物につけられたバーコードを監視して、その荷物が現在どこに存在しているのかがわかることである。
現在、ヤマトでは恐らく年間40億個程の宅急便を扱っていると思われるが、それを正確に管理し、ミスなく届けるためには、コンピュータやそれに伴うデジタル技術を使うことによって可能になる。
現在は、お客様の立場からでも、インターネットや携帯スマホから、ヤマトとコミュニケーションがとれるサービスを受けられる。
 また、E-コマース時代で、中小企業の売る側の立場でも、ヤマトを利用することによってビジネスチャンスが広がるサービスを受けられる。
 そういった面でもヤマトは情報経済を基盤としたインフラ産業としての地位を確立した企業なのである。
 今日、そして、これからもそうだが、「インターネットによって、物(商品)や情報がビジネスチャンスを広げていく時代」は、ヤマトのような「物を運び、それに対して価値をつけていく業態企業」への需要がますます拡大していく。
 もう一社の例がセブン-イレブン。数多くの小売企業がバブルの影響を受けて倒産したり、時代の変化に対応できずに衰退していった中で、1974年に米国のサウスランド社からライセンスを取得。「日本では中小小売店が多いから成功しないだろう」と言われながら、幾多の困難をも乗り超えて、昭和49年に7億円の売上げだった会社が、平成25年度、3兆7千億円の会社になり、店舗数も1万6千店を超えた。
このセブン-イレブンの成功話はたくさんあるだろうが、私見ながら、やはり、コンピュータを巧みに使い、いわゆる「情報武装型小売企業」として、一つのビジネスモデルを完成させたことになると思っている。
当然、小売業であるから「お客様のほしい商品、サービスを開発し続けなければ生き残りも成長もない」、これは実質的にセブン-イレブンを育て上げた鈴木敏文氏の言葉だ。
利用者からすれば、ヤマトの宅急便と同様に「これほど便利な店」はない。お客様に「便利さ」「ほしい商品」を提供し、そして最近は開発したPB商品の、旨さ、味の良さに力を入れて、顧客支持を高めている。
最近では「ビッグデータ」といわれるが、セブン-イレブンほど一早く地域別の商品のビッグデータを商品開発や品揃えに生かしてきた会社はないと思う。それも大量の商品の売れ行きを分析、解析しての結果である。
それでも現場の店主や店長に「何故、売れているのか?何故、売れないのか?」と、常に考えを求め、現場商人としての意識の徹底化をはかっている。それを支えているのが本部のデータマーケティングであり、マーチャンダイジングの強化である。
そのセブン-イレブンもインターネット時代を迎え、セブン&アイグループの総力を結集して「オムニチャネル戦略」に力を入れ始めている。
これは、セブンネットショッピングでの会員化をはかっているが、会員になれば、セブン&アイグループのネットショップで買った商品を、自宅への宅配サービス、あるいはセブン-イレブンでの受け取りサービスなど、お客様の都合に対応するというサービス戦略である。いわば、インターネット時代にますます熾烈になる「顧客争奪戦勝ち残り法」だ。  
そして、平成不況真っ只中で生まれた会社に「楽天」がある。銀行出身の創業者、三木谷浩氏が1997年にインターネットによるポータルサイト「楽天市場」を立ち上げたところからスタートしている。
 三木谷さんの想い、経営戦略は、その当時からインターネットが社会のインフラになることを見通して、新しい流通システムのサービス提供にチャレンジしたことである。
 創業時は6名、13店舗でスタートしたが、現在の楽天への出店数は42,600店、年間流通額は6.4兆円になり、グループ全体で、1万5,000人の社員数になるまで拡大、成長してきている。
特に2000年の株式上場を一つのてこに、その後、M&Aを重ね、楽天のビジネスモデルを構築していった。中でも世界に類のないビジネスモデルとして「楽天経済圏」は注目される。
インターネットやウェブの強みであるが、パーソナルマーケティングが可能である。この強みを最大限に生かして顧客を囲い込み、楽天ワールド(楽天経済圏)に引き込む。
楽天によると、「このビジネスモデルは楽天グループが提供するサービスにより形成される経済圏で、この中で貯めて使える『楽天スーパーポイント』というロイヤリティプログラムを通じ、楽天会員となる顧客の流入拡大、及び経済圏内でのサービス利用や回遊性を促進するビジネスモデルです。
楽天グループが提供するいずれかのサービスから入会した楽天会員は、EC(電子商取引)や金融などの様々なグループ内サービスが利用可能な共通のIDを持つことになります。また、この共通IDで管理できる『楽天スーパーポイント』は『楽天経済圏』内での買い物やサービス利用時に貯めたり使ったりすることができ、楽天会員のグループサービス内での回遊的、継続的な利用を促しています。
さらに、クレジットカード『楽天カード』や電子マネーの『楽天Edy』といった利便性の高い決済ツールが楽天グループサービスに加わり、経済圏におけるネットとリアルの融合が進んでいます。 
このように、『楽天経済圏』はビジネス資産である会員データベースを基盤に、楽天会員にとって便利なサービスを提供し、流通総額(取扱高)の増大や会員一人当たりの生涯価値(ライフバリュー)の最大化等の相乗効果を目指しています」
こうして楽天は、創業まだ20年足らずであるが、インターネット時代で可能なEC流通サービス業としてのビジネスモデルを構築したのである。まさにこれは「情報経済」ならではのビジネスモデルである。
40年前にダイエーの創業者の中内氏やセゾングループの堤清二氏などがリアルなグループ戦略によってチャレンジしたものの、志半ばで時代の大変化の中に埋没していった経済圏づくりを三木谷氏はインターネットという世界でチャレンジしている。そういう視点で私は見ているが、これからも注目していきたい。
そしてバブル崩壊後、日本で最も注目を浴び、情報社会の寵児となったのは、なんといってもソフトバンクの創業者、孫正義氏であろう。孫さんは若くして創業時からコンピュータ周辺の事業に取り組んでいた。
その時点から米国の情報企業の事業への取り組み、その成功や失敗を注視していたと思う。彼もまたバブル経済を掠めて、インターネット時代の到来と情報社会、情報経済の時流に巧みに乗った経営者である。
1990年代後半に株式上場し、時価総額21兆円にもなった。当時、孫さんは「時価総額経営」を声高に話していたが、ある時から突然、時価総額経営をなぜか言わなくなった。
そして掲げたのは「高度情報デジタル社会№1企業」になることであった。孫さんの事業家としての戦略は、常にソフトバンクの価値最大化をはかり、巧みな資金調達によって、グループ価値を上げていくことである。
ヤフーの日本での展開の権利を取得し、アップルの販売権を取得し、中国最大EC通販会社アリババへの出資などによって、情報通信企業としての基盤拡大を着実に広げている。
それでも孫さんが最も評価されるべきは、インターネット、携帯電話の普及拡大に伴い、通信料金低減への挑戦をし続けたことであろう。どんなに素晴らしい鉄道や電車をつくっても料金が高ければ利用者は増加しないのである。利用者を拡大させるためには、料金を安くすること、そして増客することによって、更に安くすることができる。
携帯電話などはコンテンツやサービスの深化が大半で、そのために、ヤフージャパンの傘下に入り、アップルの製品を取り扱うことによって利用者が拡大していく。このようにして、ソフトバンクグループは情報経済社会の企業として一大企業グループを創り上げた。
だが孫さんの眼はさらに世界に向かっている。2000年以降、米国でもツィッターやフェイスブックなどが創業し、一大企業となっている。日本でもゲームコンテンツサービスのディー・エヌ・エーやガンホー、そしてウェブマーケティングサービスのサイバーエージェントなどが1000億円を超える企業になった。
そして続々とITや携帯アプリなどの制作やサービス事業での創業が進んでいる。こういう企業とつき合っていると、やはり新しい時代が来ていることが実感できる。そういった面でも情報経済社会は、新しい起業家を生まなければならない。
また、ITに関連のなかった農業でもITを使って、作付けから収穫までを管理し、育成することで今、急速に効率化、生産性アップが進んでいる。そして新しい農業モデルができてきている。
 だが、同時に、急速に普及したスマートフォンの利用は、低年齢層まで巻き込んだ依存症を増加させている。新しい時代に入ったと同時に、社会問題となりつつあるこの課題も、企業の責任として考えていかなければいけない、そんな時代が来ている。

株式会社和田マネイジメント TEL 03-3457-6551

PAGETOP
Copyright © 和田マネイジメント All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.