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和田塾通信2016/1

2016年1月 和田塾通信〔№69〕

今月気に入った言葉、気になった言葉

『リピート率が高くなった結果、お客様はファンになってくれる。それは、お客様に継続して、感謝、感激してもらうということ』

安定して成長できる会社や店はお客様の支持率が高く、何回も買ってくださるリピート率が高いということである。それは、魅力的な会社なのか、魅力的なサービスなのか、魅力的な人がいるのか、また買いたくなる、来たくなる魅力的な仕組みがあるかどうかである。

戦後70年-バブル経済崩壊、そして「情報経済」が全ての軸の時代に

2015年は戦後70年ということもあり、明治維新からバブル経済、そしてインターネット時代へのことを書いた。日本の近代化、それは西洋化でもあった。
 鎖国時代の250年間から、西洋の新しい文明と文化を取り入れて、西洋に負けない国づくりをしようという新しいウネリを長州や土佐、薩摩の地方の若い藩士たちが起こし、新しい国、政府をスタートさせた。それが明治維新である。
 それから70年後、それなりに力をつけた日本であったが、一部の軍部を中心とした人々によって、第2次世界大戦を引き起こし、約300万人もの民衆の尊い命を犠牲にして、10年にも及ぶ戦争は敗戦というみじめな結果で終わった。
国の全ての財産、資産を失った日本人であったが、米国の統治下(これを批判する人々はいるが、負けた国が植民地とならなかっただけまし・・・と戦後生まれの私は思う)によって、元来の日本人の勤勉さを含めて、焼け野原からの復興、成長をほぼ15年位の期間で成し遂げたわけであるから、その民族力の高さは、世界から尊敬と脅威で見られた。私たち先人の底力はまさに称賛に値する。
それから70年(明治維新から約140年)であるが、産業構造からすると、第1次産業中心(1950年頃には農業人口は約1500万人いたが、現在は200万人強になってしまった)から、産業シフトが起こり、1970年から80年代にかけて世界一の製造国家としての産業力を身につけた。特に市場(マーケット)の成長期には、大量生産、大量販売、特に規格品大量生産の物づくりが得意な国になった。
同じ規格商品を大量につくり、コストダウンをはかることによって競争力をつけ、世界に売りまくったのである。その頃の日本の物づくりは「悪かろう、安かろう」から脱皮し、当時、その性能は世界から評価された。
その代表が戦後のベンチャー企業と言われたソニーが創った「トランジスターラジオ」であった。円は固定相場の360円時代だったが、日本の電機メーカーや自動車メーカーが1970年代、80年代に着実に力をつけていったことは間違いないことであった。
そして日本には世界には珍しい「商社」という、世界に日本の製品を輸出したり、海外から石油や石炭などのエネルギー、あるいいは農産物やハイテク製品を輸入してくる機能を有する企業群が存在する。
この「SOGO SHOSHA」の存在なくして日本の成長はなかったのではないかと思う。一般的に総合商社は三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、三井物産、住友商事、豊田通商、双日の7社をいうが、2013年の総売上高は約70兆円にも及び、日本のGDPの約15%をも占める力を持っている。
この商社の貿易、情報、金融などの直接間接の投資なども含めて、今後、新幹線などの国家プロジェクトのハードやソフトなどの運営面の輸出が課題になっているが、このようなプロジェクトにも商社の力は欠かせない。
さて、「物づくり日本」の力は、工業化社会から1980年代後半頃に動きだした「情報社会」「情報経済社会」に移行しつつ、今日現在を迎えている。
「失われた20年」「成長なき20年」「デフレ経済の20年」と呼ばれているが、1990年代、2000年のおおよそ20年は確かにバブル経済の崩壊による多額の不良債権の処理に経済活動の中枢にあった「金融機関の機能マヒ」に多くの企業が巻き込まれた。
その間に世界は三つの大きな変化があった。一つは、米国の情報関連の企業の成長と金融資本主義の台頭、二つ目は、中国の市場経済への移行が大きなウネリとなって、資本主義国家と同様の企業群が相次ぎ生まれ、世界の表舞台に登場してきたこと。三つ目は、東南アジアを中心とした国々とインドの成長である。
この三つの現象は、既に言うこともないが、世界を変え、日本のそれまでの存在感、企業力を削いでいったように思う。つまり、日本の相対的な経済力の低下を招いたということである。
特に2000年代初頭には「日本素通りの時代」とも言われ、米国やヨーロッパの代表的な企業は「日本には、かつてのような力がない」と、中国や東南アジアへの投資や取引をすることが増加していったのである。
このように日本を取り巻く状況は、外部環境も大きく変わった。内的な変化として、今日(こんにち)の状況を良くも悪くももたらしたものとして次のものが挙げられる。
1.小泉純一郎政権下での様々な改革の功罪ここでは詳細は書きません。郵政民営化とか労働者派遣法の規制緩和等々、反小泉派の学者は、「この政権によって、日本的経営が破壊され、大量の非正規社員を生んだ元凶)と言うが・・・」
2.2000年のITバブルとその後このITバブルによって、はっきりしたのはインターネットの普及とモバイルフォンの新しい技術開発によって、スマホ時代を迎え、本格的情報社会が到来したということ)
3.リーマン・ショック米国のリーマン・ブラザーズの負債総額約6,000億ドル(64兆円)という史上最大の倒産により世界連鎖的な危機を招いた。2008年9月に12,214円だった日経平均株価が、10月28日には一時6,000円台(6,994円)まで下落。その後、行き過ぎた金融資本主義は格差を生み、世界連鎖不況を招くとも言われたが・・・。
4.野党民主党が政権を担当、その功罪2009年から2012年までの3年間、野党の民主党が政権をとるが「失われた3年」と後に言われるほど、また世界から冷ややかに見られた日本の政権であった。最悪は鳩山内閣時代に子ども手当てなどの政策を実行するため、過去最高の44兆円強の新規国債が発行されたことである。
5.2011年3月11日の東日本大震災がもたらしたもの 未曾有のM9の地震発生により、東北や関東で甚大な被害。津波によって、町ごと消滅したり、福島第一原子力発電所がメルトダウンしたが、まだ復興のメドはたっていない。政府がこの4年間で復興にあてた予算は約26兆円と言われている。世論は原発の有無について、二分されているし、エネルギーの多様性が求められるようになった。
6.地方と都市の格差 県庁所在地レベルの都市(人口20万人前後)でも商店街が「空洞」から「消滅」に。また、電機や半導体などの工場なども閉鎖されてきている。自動車メーカーのある愛知や福岡周辺、仙台などは自動車産業の進出によって、強さを持っているが、電機や半導体の工場のあった地域は衰退している。
7.1,000兆円を超える日本の国家借金 1980年代にはGDP比60%超位の水準であったが、バブル経済の崩壊後、景気対策で、公共投資のための建設国債などを発行、それ以来、1997年頃には対GDP比が100%を突破。度重なる資金注入でも日本経済は低迷を続けたため、2001年頃には150%を超えた。 2000年以降は、社会保障費が増加し、現在もこれからも我々、日本人は抱えていかなければならない。大変な時代になっている。
8.大企業も中小企業もM&Aが当たり前に 2000年代に入ってM&Aが盛んになってきた。2015年、世界では500兆円もの資金がM&Aのために動いたという。日本企業にとって、大企業はグローバルに生き残るために、中小企業は、かつては会社の経営悪化のために会社を売却することが多かったが、現在は事業承継(後継者がいないか、能力がないか)のために。会社の価値がある時に売却をすることが何ら躊躇うこともなく行われるようになった。これからもそういう動きになるだろう。
9.今まで存在した仕事がなくなる(消滅する) 社会構造が大きく変革する時に過去存在し、栄えたものが消滅する。かつて最も働き手の多かった電話交換手やタイピストは今やほとんど必要なくなっている。高速道路のチケット販売の人もETCが増加すれば必要ない。駅の切符売りも同様である。これからは、ますます様々なことが消滅する時代になる。仕事の将来は、下記の表になると予想される。=仕事の将来=
10.人口減と生産人口減 日本は成熟国家になり、その代表的なことは、人口が減少し、生産人口(働き手)が減ってきていることである。女性やシニアに働き方の方法を変えて働いてもらうことは可能である。しかし、人口減はなかなか難しい。人口が減れば、地方では消滅する村や町が出てくると予想されている。しかもこれから20年くらいは老人ばかりの市町村になるし、都心でもそうしたことが問題になってきている。空き家は800万戸を越えてきているし、これから不動産や学校など、人口が増加することで成長してきた業種は、その淘汰が激しくなるだろう。
 以上の10項目がこの20年位で日本の社会、政治、経済、地域を大きく変えていく要素であり、課題である。そして、これらのことは当分、日本の課題として取り組んでいかなければならない。
 景気というのは、かつて私が社会人として働き始めた頃の1970年頃には循環性があり、特に多くの学者が、ソ連の学者、ニコライ・コンドラチェフ(1892~1939年)の「コンドラチェフ循環」をもって説明していた。
 彼は「産業国家の経済的発展は、その度毎におよそ50年持続する波(コンドラチェフ循環)の中に生ずる」と結論づけている。
 この説によると、初期産業革命の時代-運河、水車、蒸気機関、紡績(1793~1840年代頃まで)から第4周期の世界大戦と戦後成長の時代-石油化学、モータリゼーション、原子力、電子工学(1940~1982年頃まで)、そして今は第5周期のポスト工業化=情報社会-情報技術、高齢者介護、生物工学(バイオ)、シェールガス(2039年頃まで?)にある。このような周期の中で、景気変動は発生するというものである。
対極的に、時流をつかむのには、ほぼほぼわかりやすいが、現在のように中国経済が巨大化し、世界に多額のヘッジファンドマネーが存在していることを考えれば、生産と消費、つまり、供給と需要面だけでの景気の状況をとらえることには無理がある。
日本の場合には、一言でいえば、成熟国家になり、物が余り、人口も減少、多くの働き手を受け入れる新規産業も生まれていない。しかも地方には、これといって働く企業が存在しない。大企業が稼ぎ納める税金も大半が社会保障費で消えていくのが実状である。
こうしてみると、前述した10項目を含めて景気が上向くには材料が乏しい。しかも大転換期で、これからの仕事の多くは知的レベルのキャリアを必要とするものが大半である。つまり、新しい産業対応のための能力を身につけなければならない。
これには、個人の努力も必要であるが、国家レベルで教育環境をつくり、教育制度を創造していかなければならない。「人財づくり100年の計」が必要だ。
そういった面で「複雑」「混沌」「不安」な時代といえる。そうはいっても、今日、明日を生き抜いていかなければならない。そこで企業のリーダー(社長)として、次の点に重点を置き、実践していただきたい。
1.自分がどのような考え(理念)で、どんな方向性(ビジョン)、具体的なビジネスモデル(どのように収益を上げる)を持っているのかを見直し、その方向を示してほしい
2.社長も幹部も社員もどんな心構えで日々、仕事に取り組んでいくのか見直し、修正してほしい―全ては経営のために、全てはお客様のために、全てはみんなのハッピーのために
3.現状を見直し、全ての「品質の向上」に全力を挙げてほしい。それは改善・改革であり、自社の強みを伸ばすことである
4.利益創出に力点を置く。利益は対売上高10%を目ざしてほしい。それはコストカットだけでは出来ない。ビジネスモデルの点検が必要である。利益がなければ、次への成長の足がかりは出来ない
5.今までの本業が本業ではなくなる時代である。本業が元気なうちに次の成長事業を見つけなければならない。これは社長の仕事。様々な会社を見て、話しを聞き、学び、時流を読み取る感性も身につけなければならない
6.情報社会である。ITの時代である。小さい会社は小さい会社なりのITを学ばなければならない。物を売る会社であれば、アマゾンを利用するのも良い。そういった面ではチャンスである。カンナを作っている会社がアマゾンを利用して10億円以上売る時代でもある
7.オリジナリティが求められている。しかしそれには、お客さん(狙うべき客層)に受け入れられる商品であり、サービスであり、巧みなマーケティングが必要である
8.人手不足時代。社員を辞めさせるのが現状では最も経営のロスになる。そのためには、社員一人ひとりを見ておかなければならない。それは社長の仕事(責務)であり、幹部の仕事である。コミュニケーションが最も大切で一人ひとりを知ることである
9.赤字商品、赤字事業の解消を。新規事業や新商品、新店でよく赤字になることはある。最初から条件が揃わなければ利益は出ない。しかし、多くの場合は、最初は社長が考えても実行は部下がやるのがほとんど。この場合の責任は全て社長にある。どう処理するかの基準を決めること。「どの位の期間、赤字だったら撤退する」といった基準である。自己資金でやる場合はまだしも、借り入れでやる場合の事業は引き伸ばしは命取りになる
10.難しい時代である。混沌としている時代、先の見通しがつかない時代である。こういう時こそ「現場主義」。現場とはお客さん。お客さんに接することによって、かなりの答えが見つかる。その感性を磨きこむこと。それが経営者能力、社長の力である
 いよいよ2017年から消費税も上がる。人手不足は当分続く。消費者は不安から財布のヒモを締めている。節約志向である。普通のことをやっていては生き残れない。
こんな時にはやはり松下幸之助さんの言葉は励みになる。二つ紹介する。一つは「不況の時代こそ知恵や工夫が出るものだ」と説いた「好況よし、不況なおよし」。もう一つは「一生を通じて一つのことに打ち込み、そこに生きがいを求め続けることはきわめて価値のある生き方である」
素晴らしい一年となりますよう、お互いに精進しましょう。

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