「ワダのその時、思ったこと、感じたこと」 (2020/12 /4 №33)

コレラの日本、水道で救った外国人

日経新聞に毎日、掲載される「文化」というコラムがある。テーマの通り〝文化的〟な話題で毎日、様々な人が書かれていて、おもしろいし、勉強になるので読んでいる。

11月3日の掲載であったが、表題のようなコラムがあった。歴史の教科書にも書かれていない。時あたかも「新型コロナ感染症」で日本も世界もズタズタになっているが、明治のお雇い外国人(スコットランド人)、ウィリアム・K・バルトン氏が明治期のコレラが猛威を振るった日本を訪れ、上下水道の整備に身を捧げた話である。

来日したのは1887年、今から133年前である。日本はコレラ感染症の罹患者が16万人、死者11万人という惨状で「病院は患者で溢れ、棺桶が山をなす」と内務省衛生局が記したほどであった。衛生的な生活のため、上下水道の整備が急がれたのである。

結論からいうと、近代日本はあらゆる面で欧米の力を借りて〝近代化〟をはかった。そして、バルトン氏の存在と能力によって、「日本の水道は世界一安全だ」と言われるまでになったのである。

バルト氏は「日本の国内衛生工学の父」と呼ばれ、そうした先人たちのおかげで今がある。

©日本経済新聞