ワダからのメッセージ (2021/8/30 №87)

いよいよ経営でも〝地球温暖化〟〝異常気象〟への対応を早急に考える時が来ている

コロナの猛威と共に、今年に入って世界中で異常気象による被害が相次いでいる。いや今年だけではない。2年前のオーストラリアの森林火災では、日本の国土ほどの面積が焼失した。

今年でもカナダで49.6度を記録、高温と共に森林火災は広大な面積に広がった。

カリフォルニアでは毎年、山火事が当たり前になっているし、最も高温で有名なカリフォルニア州のデスバレーでこの7月9日に54.5度という「地球上で最も暑い記録を出した」という報道があったのはまだ耳新しい。フランスでも山林火災が広がったし、ロシア、シベリア地域でも…。

山林火災はかつては自然の循環型活動としては必要条件であると言われていたが、今やその条件以上の範囲に広がっていることが問題であると指摘されている。

8月6日の日経新聞の一面報道は「世界で異常気象が猛威をふるっている。トルコやイタリアでは大規模な山火事が発生し、ドイツやベルギーでは大洪水が起きた。地球温暖化の影響とみられ、国際商品価格の上昇や難民の増加にもつながっている」という見出しである。その概要は以下の事象でも分かる。

<洪水や山火事が各地で相次ぐ>

  • 北米…歴史的な熱波。米カリフォルニア州で山火事
  • 欧州…7月にドイツとベルギーで豪雨による大洪水が発生。死者は200人超に
  • 地中海周辺…トルコ、ギリシャ、イタリアで大規模な山火事
  • 中国…7月に河南省で観測史上最悪の大雨。工場の操業停止も
  • インド…7月にムンバイ郊外で、大雨による地滑りや洪水
  • ブラジル…干ばつでコーヒーやトウモロコシの生産に打撃

今や、この異常気象が全地球規模で発生し、大きな被害をもたらし、食糧危機にも影響を及ぼし始めている。

このような事案については国連内部に対策部署がある。そこでも様々な調査がされているという。そこでの話しあいは次のようなものであった。

「現在、世界で発生している〝異常〟は起きることが予想されていた。科学者は何年も前から気温の温暖化は異常気象の頻発につながると警告していた。だが、それ以上の異常気象が、過酷でかつ発生頻度が高く、予測不能な現象が最近、起こっている」

特に突発的かつ、頻繁に、そして場合によってはより激しい被害をもたらす「非線形」の動きをする時代に入っているという。このことについても科学者の意見は割れている。

しかし、一つの現象が科学者を驚かせた。それは、この6月に長期間発生したカナダ西部と太平洋沿岸の米国北西部を襲った熱波(前述した49.6度)で、何十年も不動だったそれまでの最高気温を一気に5度も上回ったことである。この現象は保守的な科学者にも影響を与えた。

それは産業革命以来、200年以上も経済優先の社会で、経済成長と共に大量生産、大量消費、そして化石燃料中心経済がもたらしたものだということである。

最近、いわれる「〝脱・炭素社会〟をめざす」という方向に国家も科学者も動き始めている。

産業革命以来、気温上昇は1.5度(2021~2040年)に達するとの予測も公表された。2018年の想定より10年ほど早くなるということである。今までの人間の経済活動の温暖化による影響はもはや「疑う余地がない」とも国連は断定した。

国連が発表した気温の上昇と異常気象の関係は以下の表の通りである。

この異常気象がもたらす地球温暖化を食い止めるには、燃料の変更、森林伐採を止める他に、最も重要なのは二酸化炭素(CO₂)の排出を実質ゼロにするということであると、国連もG7サミットでもその削減目標を表明している。

プラスチックごみが環境汚染をしているということで、スーパーなどの小売業の買い物袋が有料化されて一年が経つが、今やそれも当たり前になってきている。

環境省と経済産業省はプラスチックの使用削減やリサイクルを促進する新制度の具体案を示した。「プラごみ削減の新制度案のポイント」を参考にしてほしい。

これは、業種によってはかなりの対応策をしなければならないと同時に、お客様にとっては、今まで当たり前のサービスであったモノが消えてしまうということである。場合によってはビジネスモデルそのものを変えざるを得ない状態になる。

例えば、一つの例であるが、日本のホテルでは、特にシティホテルクラスになると、洗面所にたくさんのアメニティグッズが箱いっぱい入って用意されている。これが全部なくなるとしたら、お客様はどれだけ不満を持つのか、また、そのホテルに泊まるかどうかも含めて、どれほどの影響を与えるか…。

欧米のホテルでは今でも歯ブラシやヘアブラシ、髭剃りは用意されていない。日本では同じ外資系ホテルでも大変細かく様々なアイテムが用意されている。しかし、これらの廃棄型商品が特にプラスチック類は法律で置けないようになる。

飲食系でもプラ製品を減らすために、使い捨てのストローやスプーンを5トン以上使用する事業者に対しては有料化、再利用などの対応を義務化する。この6月に成立した「プラスチック資源循環促進法」に基づいた措置で2022年4月からの導入をめざす。

いずれにしても「地球がもたない」「身近なところで大災害が発生する」ということを前提に私たちのビジネスをそれぞれの立場で見直ししていかなければならない。いわば「使い捨て消費」との「さよなら宣言」をすることが求められているのである。

私自身の人生の中で、確かに昭和20年代後半から30年代は物がなく、使い捨てということは考えられなかった。同じものを何回も洗って使った。それから60年余、安価な新しい素材が開発され、使い捨てても、コスト吸収できた経済であった。

だが、それを見直す時代がきている。地球を守ること、それは私たち自身を守ることであるということを経営レベルで考えてみましょう「モッタイナイ精神」をもう一度見直すことが求められている

この8月27、28日も猛烈な暑さである。今週、福岡に行った時もムシ暑さに閉口した。つい先日までは梅雨後期のような状況で九州から中部地方までひどい天候であった。

その天候の変化をその異常さを〝実感する〟ところまできている