ワダからのメッセージ (2021/2/22 №79)

新型コロナウィルスに襲われてもう一年、これからのこと!

早いもので新型コロナウィルスが世界中で蔓延し始めて一年が経つ。一年で感染者数は1億人を超え、死者も200万人を超えた。

そしてこの間に経済面で何が起こったか?最もはっきり打撃を受けているのは「人の移動」に関するビジネスである。そのトップが航空業界で、2020年だけで全世界で約70%の減少になり、第二次大戦後、最悪の状況という。

戦後70年の経済成長はまさに「グローバル化」に代表されるものである。私自身も昨年1月にバンコクに行けただけで、あと3回予定していた海外行きは全て中止になった。「世界の航空輸送業全体の損失額は100兆円を超えた」とIATA(国際航空運送協会)は発表している。

日本はこの10年くらいはインバウンドに力を入れて3,000万人を超える外国人が来日していたし、2020年はオリンピックも予定していたので、4,000万人を見込んでいたが、これが全て消滅してしまった。経済効果は4兆円とも6兆円とも言われていた。それが消えたのである。

日本人の国内移動(旅行、出張など)も壊滅的となった。全日空、日本航空でも「赤字は5,000億円レベルになる」と発表。今や会社存亡の機が問われるところまできている。

「人の移動に関わるビジネス」は今は裾野が広い。旅行会社、ホテル、空港ビルのテナントビジネス、例えば羽田空港は今や全体で1,500億円位を売り上げるという巨大ショッピングモールになっている。

各地方の空港販売も同様である。また新幹線の主要駅も土産店、弁当店など様々なサービス店が入居している。これらの売り上げも軒並み70%減くらいになってしまった。

地方都市も観光や出張族によって様々なビジネスが成り立っているが、人の移動は緊急事態宣言などもあり、また会社によっては出張は禁止となり、「リモートワーク」によって全体的に人の移動は一年間でみるとほぼ50%くらいになってしまって、サービス業はほぼ地元客を相手にするしか手立てがなくなってしまった。

物販業はネット販売で全国に売る。あるいは宅配ビジネスで30分圏内の商圏内に宅配する。飲食業はテイクアウト(ドライブスルーも含めて)デリバリーなどを提供する。それでも従来の売り上げをカバーできるような状態にならないのが現実である。

そんな中でのECビジネスのアマゾンの成長ぶり、またシステム販売のベンチャー企業「BASE」などの成長、新興企業が続出し、物流センター、物流支援企業も活況である。

これからのアフターコロナのことを考えながら、当面は生き残り策を考え、実践し、試行しなければならない。以前にも書いているが、居酒屋はその業態のライフサイクルはコロナが来なくても既にその存在価値は薄れていたが、和民は全店を焼肉店に業態転換、その他の居酒屋も数十店レベルで閉店を発表している。

ファミレスのロイヤルホールディングスは商社の双日と銀行団から約160億円の資金を調達し、実質的に双日のグループに入る。外食に限らずアパレルの大手、ワールドも400店強の店の閉店と1,000人のリストラを発表。これから中堅、大手を含めて、外食、結婚式場、ホテルなど様々なサービス業でこのようなことは頻発するだろう。

一年前を振り返れば、安倍内閣の打ち出した景気対策は粗雑ではあったが、効果はあったと思う。

1930年代の世界大恐慌はまだ労働力は〝人力〟であった。米国の失業率は25%を超え、1,200万人に達したという。

米国はまだ重工業が成長期に入ったばかりであり、農業との2本柱が経済を支えていた。

時の大統領、ルーズベルトは大量の失業者、すなわち労働力を公共事業に向けたのである。これが「ニューディール政策」である。詳細についてはいろいろあるが、この流れが第二次大戦への参戦による莫大な軍需景気を持つことになった。

今の日本でこれだけ社会インフラが充実し、体力を使っていないサラリーマン労働者が体力労働を成すことなど出来るはずもない。

そこで手っ取り早い、お金を給付するという早道をとったといえるのではないだろうか?「国民一人ひとりに10万円を給付し、企業には持続化給付金として200万円を支給する」という前代未聞の政策が実行された。

その他に企業に対しては貸し出し金利がゼロであったり、年利0.1%での融資が受けられる制度も導入された。2回にわたって組まれた補正予算の総額は約58兆円、事業規模はあわせて230兆円とされる

いろいろな批判はあるとしても日本経済がどん底の不況に陥ることを防いだのは確かである。

2021年に入り、緊急事態宣言が首都圏を中心に2ヶ月間、実施されている。この間、私は飛行機や新幹線に乗り、移動しているが、どこも閑散としていてビジネスにはなっていない。さすがに夜の街には行かないが、多くの店が休業しているという。

丸の内や秋葉原、品川などのオフィス街に行っても働く人の数は少ない。「リモートワークが浸透している」のがわかる。それらのビルに入っているレストランの一部は閉店している。開店していても閑古鳥である。ホテル業界でも特にシティホテルの稼働率は20%ほどであり、中にあるレストランも半分は休業している。

そんな中、帝国ホテルが「30泊36万円」という新しい売り方(詳細は「ワダのその時、思ったこと、感じたこと」に書いたので参照してください)をしたところ即日完売という。

JR系ホテルがやっている「リモートワークルーム」も好況のようである。富士ゼロックスはリモートワークボックスを街中やオフィスビルのパブリックスペースに置いている。

リモートワークのソリューションサービスを提供する会社はDX化もあり人手が足りないほど繫昌している。その代表はアイリスオーヤマである

一年経つと、様々なことが分かってくる。まさに「アイディアをビジネス化」するチャンスである。それには常に問題意識を持ち、世の中を見て、自社の状況を見ていなければならない。今、株式市場は「理由なき大活況」である。日経も30年ぶり(バブル経済以来)の3万円台に回復、確かに「株長者と一文無し層」の超格差時代が来ている。それも危うい状態で…。

最後に次のことを言いたい。

  1. 良くも悪くも経済は動いている。人は1日に1回は飯(メシ)を食うのである
  2. 駄目だと思うより、何かしらのチャンスがこの大変化の中ではあると考えて、動いて、見て、耳をそばだてて聞くことが大事である
  3. 自分が役立つことは何だ?と常に自問自答してみる。きっと誰よりも少しは優れた点はあるものである
  4. 一昨年までなかったもの、「マスク」「消毒液」「検温器」「リモートワーク関連」を私たちは毎日、何回も使うようになった。スーパーやコンビニのレジ袋のように、この間まで「タダ」だったものにお金を払うようになった。色々なことが一年であっという間に変わるのを目の当たりにしている。それがビジネスの現実である
  5. 最も大事なことはお客様の変化である。その変化を日々、鋭く観察すること、それがまず第一にして欲しいことである