幸せな社長のFlow days 第77回 「女性活躍推進」

先日、仕事帰りに偶然ママ友に会いました。彼女は私と同じシングルマザーです。15年ほど前、彼女はこんなことを言っていました。
「子供が熱を出すと保育園から電話がある。そのたびに上司に頭を下げて帰らせてもらう。それが何日も続くとクビになるんじゃないか、生活できなくなるんじゃないかと不安で泣きながら帰った」
保育園からの電話は容赦なくかかってきます。子供がもう少し大きくなるまでがんばろうねと励まし合った日が懐かしいです。
彼女は今、役職もついてバリバリに働いています。

最近「女性活躍推進」のご相談をいただく機会があります。先日お話を伺った企業は、社員が五百人以上ですが、女性の役職者は数えるほどです。時代に乗り遅れているのでなんとかしたいとのことでした。
研修に参加する対象者は、女性社員とのことでした。
私は、女性活躍推進は研修ではなくプロジェクトで、上の方たちを巻き込んでいかないと変わりにくいと感じています。
担当になった女性社員には
「上司と闘わないでね。一緒に巻き込んでいかないとうまくいかないから」
と伝えています。キャリア志向の女性は、上司がわかってくれないとつい闘いモードになってしまいがちで、結局うまくいかなくなってしまいます。

女性にとても理解のある方がいらっしゃいました。これからは女性の活躍が必要だとよく発言されていました。
ある日「Mさんが、なんか子供のことで学校に行ってからくるって、会議におくれてきたよ~」
と渋い顔でおっしゃっていて、腰を抜かしそうになりました。(笑)というか、がっかりしました。なあんだ、いつもの発言はなんですか?と聞きたくなりました。
考えてみたらその方の奥様は専業主婦です。実際に相手の立場に立って考えるというのは難しいのかもしれません。
学校での役員決めの時にいかないと、大変な役が回ってきたりします。授業参観で振り返った時、親の顏が見えなかったら子供はがっかりするでしょう。

「関根先生、私マミートラックですよ」
と頑張り屋のある方がポツリと言っていました。
マミートラックは、同じところを何度もぐるぐる回りキャリアが見えず抜け出せない状況のことを言います。子供ができて早く帰っていいことになったけれど、帰り際みんなが忙しそうであいさつもなく、いたたまれない思いで毎日帰るとのこと。キャリアは全く見えなくなった。これでは、制度を設けても何もならないですね。
話を聞いてあげていただけるといいなと思います。

時代に乗り遅れているから始めるのではなく、トップが本当に必要と思われた時に取り組むのがベストですね。そうしないと変わらないからです。
そもそも「女性活躍推進」というネーミングをつけないと女性が活躍できなければ夢がないですね。

社員はいつも成長したいと思っています。そう信じて関わっていくことが会社の発展にもつながるのではないでしょうか。

今年も1年間お世話なりました。
ありがとうございました。

関根美紀子